■ 親知らず(親不知・おやしらず)とは?
「親知らず」(親不知・おやしらず)とは、前から数えて8番目の歯です。
親知らずは20歳前後で生えてくることが多く、生えてくる場合と生えてこない場合(又は最初から無い場合)があるのですが、場合によって抜歯した方が良いことがあります。
■ 親知らずを抜いた方が良い場合
横を向いているなどの理由で歯磨きが上手に出来ないと、
↓
・親知らず、または手前の大事な奥歯まで虫歯になってしまう。
・歯茎が腫れたり、歯周病になって手前の奥歯との間の骨が吸収してしまう。
このように、親知らず自体が悪くなる場合だけでなく、本来抜くべき親知らずのせいで、手前の大事な歯に悪影響が及んでしまう場合は抜歯した方が良いでしょう。
■ 親知らず抜歯の手術について
手術時間:30分~1時間程度
埋まっている深さ、根の曲がり具合、横向きに生えているなど状態によって処置にかかる時間が変わってきます。
親知らず抜歯の注意点
抜歯後は通常2、3日程度の腫れ、痛み、出血などが見られますが、それ以外の後遺症として、麻痺のリスクがあります。
親知らずの根の近くに下顎の神経が通っている場合があり、この神経を傷つけてしまうと、唇の麻痺などの後遺症が出てしまうので、処置の際には、神経を傷つけないように充分注意する必要があります。
■ 持病のある方の抜歯について
来院される患者さんの中には持病があり、お薬を飲んでいる方がたくさんいらっしゃいます。以下の方は抜歯時に特に注意が必要です。
- 抗血栓薬(血液を固まりにくくする薬)を服用中の方
現在の日本は超高齢化がすすむ中、脳梗塞や心筋梗塞に代表される血栓性疾患が増えており、抗血栓薬(バイアスピリン、ワルファリンなど)を内服する人が増えています。
以前は、術後出血の懸念のため同薬剤の休薬が慣習化されてきました。しかし近年では、抗血栓薬の中断による血栓・塞栓症の危険性が問題視されていて、抜歯にあたりワルファリンを中断すると約 1 % に重篤な脳梗塞を発症し、死亡例も報告されています。
国内外のガイドラインでも、抗凝固薬を中断することによる血栓・塞栓症のリスク、また継続下に抜歯を施行しても重篤な出血性合併症は起きないことから、抗凝固薬は中断せず継続したまま抜歯することが望ましいとされ、十分な局所止血が推奨されています。
・骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート系)を服用中の方
一部の骨粗鬆症の薬(ビスホスホネート系)を長期間服用している状態で抜歯を行うと、抜歯後に抜いたところの骨が腐ってしまう顎骨壊死という状態になる可能性があります。顎骨壊死になると、何ヶ月も抜いた傷がふさがらずに骨が露出して、膿が出つづけるような状態になってしまいます。
ビスホスホネート系の骨粗鬆症薬を長期間の服用されている場合には、顎骨壊死のリスクを減らすために数ヶ月休薬してから抜歯を行います。